色付けと焼き上げ
上薬は白萩と織部の2種類を掛けるのでした。掛け方は湯のみの全体に白萩を掛け、湯のみの縁に織部を重ねて掛けるというのです。湯のみの内側に上薬を掛けるのが少し難しく、慣れている人は底を持ったままバケツの中に湯のみを入れていき、一瞬で勢い良く上下させる事によって湯のみの内側全体に上薬を入れ込むらしのです。私はバケツに入れる前に何回かタイミングの練習をしてみましたが上手く行くのかどうか不安でしたので、柄杓で湯のみの内側に上薬を入れて流すという方法でやってみる事にしました。その後は湯のみの下の方を持ちバケツに浸けて外側に上薬をつけるのです。
次は湯のみの縁の織部の部分です。これも湯のみの下の方を持って上薬の入ったバケツにふちの部分だけを浸けるのです。これで上薬を掛ける作業が終わりました。
いよいよ本焼きをする日になり、私も窯入れに参加する事にしました。大小さまざまな大きさと形の作品を上手に高さを板で仕切りながら、ほとんどの作品の窯入れが終了しました。焼き上がるまでは数日かかるのでしょうか、窯だしの時にはまた参加させてもらう事にしました。
数日後、本焼きの窯を開ける時が来ました。焼き上がってから自然に温度が下がるのを待ってからの取り出し作業です。窯の扉を開けると、そこには艶やかに仕上がった様々な形の陶器が並んでいました。
大きく開かれた扉から皆の作品を1つずつ丁寧に取り出し、作品棚に移動します。自然に冷ましたとは言え、未だ少しぬくもりも感じられる陶器は外気に触れて「ピンピン」とかわいらしい音を立てています。窯の中からも同じように「ピンピン」と少し高い音のささやきが聞こえて来ます。この音は窯だしの時だけ聞こえる音です。陶器の表面に貫入というひび割れが入る事によって起こる音だそうです。
出来上がった初めての作品は思ったような色とまでは行きませんでしたが、手の平にすっぽりと入るかわいらしい湯のみに仕上がりました。そしてまた、「ピンピン」というささやきを聞くために土捏ねを開始したのでした。